NGC・PCGSの状態グレーディング
勘違いされている方も多いのですが、NGC・PCGSは単なる状態グレーディングを行っている米国企業であり、鑑定機関ではありません。建国から歴史の浅いアメリカではコインはバラエティが乏しく、年代や傷の状態で差別化を図っていきました。こうした中で30年ほど前に、何社かの状態グレーディング会社が設立しました。その中で比較的有名な会社がNGC・PCGSになります。証券業界のS&Pと同じような標準化を生業としたアメリカンビジネスモデルですね。
購入時は、このグレーディングのみを妄信することなく、鑑定力のあるコインコンサルタントに相談され自分の目でも実際に確認しましょう。鑑定力がないコイン商ほどこのグレーディングに頼る傾向があることも事実です。とはいえ、相場観をやしなったり漠然と品定めをしている段階では、こうしたものを参考に感覚を養うという利用価値は高いです。また、実体より低くグレーディングされてしまいその影響で安くなってしまったものがあったら、それは買い得と考えることもできます。
スラブ
状態グレーディング会社は、自分たちのつけたグレーディング数値とそのコインを紐づけさせるためにプラスティックのパッケージを開発しました。このパッケージをスラブといいます。

【項目》
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発行年 (1923、1858)
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額面 ($1、$10)
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グレード (MS67★、PF64UC)
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コイン名称
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登録番号
等で構成されています。
登録番号を各会社のHPに入力すると、そのコインの詳細情報やグレード分布・マーケット価格などを調べることができます。

傷の具合など保存状態による分類は、70段階と細かくなされています。 PCGSの70段階グレード
この70分類を『国際的な等級分類』と比較します。実は、どの資料をみてもこの基準は一致していません。細かすぎて、かえって基準にばらつきが生じているというのが実態です。あくまでいち企業がつけているグレーディングですから目安として活用してください。

他に特別表記として付加している略語があります。これらの中には、一般用語ではなくこうしたグレーディング会社によって作られた造語もあります。

略語の解説
PF(PROOF)一般
デザインが鮮明になるように特別丁寧に作られたもの。多くは、鏡面仕上げになっている。贈答用・記念品など特別な目的で作られることが多い。製造プロセスの一例として、金型自体も磨き圧印を2回打ちし、さらに磨きをかけます。運び出すときもとても傷がつかないように丁寧に取り扱われます。格付け会社によっては、PF・PR・PRFなどと表現されています。
MS(Mintstate)一般
流通用に鋳造されたコイン。
CAMEO
鏡面上のコインにデザインをつや消しにし、コントラクトを際立て模様を浮き出させたデザイン。その際立ち方によってULTRA・DEEP・HEAVYなどと名前が付けられている。
FIRST STRIKE, EARLY RELEASE
第一出荷または、発行より一定期間内にグレーディング依頼を受けたもの。早期にグレーディング依頼を促す手法でもある。
状態グレード証をオーダーしたい場合
鑑定力のあるコンサルタントとの取引においては、必要性を感じません。それでもこの状態グレード証が欲しいという場合には、各公認コイン商を通じて、もしくは、直接オーダーをすることができます。
代表的な状態グレーディング会社
NGC:Numismatic Guaranty Corporation
1987年にアメリカ、フロリダ州サラソタにて創設。
グループ会社に復元・修復の為の「NCS」紙幣グレーディングの「PMG」等があります。「NGCグループ」の特色の一つに「グレーディング可能品目の多さ」が上げられます。中世から現代迄の「コイン」をグレーディングする「NGC」を始めとして、古代コイン鑑定専門の「NGC-ANCIENT」や紙幣グレーディングの為の「PMG」の部門が有ります。アメリカの「スミソニアン国立博物館」、中国上海の「ミントミュージアム」の紙幣グレーディングの実績があります。
PCGS:Professional Coin Grading Service
1986年にアメリカ、カリフォルニア州ニューポートビーチにて創設。
ここで紹介した70段階状態格付けを最初に確立した会社です。紙幣グレーディングを行う部門やコインの復元、修復作業を行う部門もあります。
注意事項
日本は、このグレーディングを妄信しすぎるきらいがあります。投資の世界であの有名な格付会社S&Pやムーディーズでさえ、格付けがいい加減でサブプライム問題やエンロン事件などの発端となったように、彼らの格付けはあくまで参考値と考えたほうが良いでしょう。
特に、鑑定力のない会社が運営しているようなネット上での購入時は注意が必要です。巧妙にパッケージを開け中身を入れ替えた詐欺事件も過去に起きています。
グレーディング企業は、自分のお金で取引をしません。実際に自分のお金で取引をしているコイン商のほうが真剣に品定めせざるを得ないわけで、どちらが信用あるかわかりやすいと思います。また、偽造品などを取り締まるインタポールと協力し常に情報をアップデートしている企業に確認するのもよい方法かもしれません。