製造工程を知るといろんなことが見えてくる
製造工程など、そんなこまかいことどうでもいい。と思っていました。しかし、ここを知ることで、傷自体も価格にマイナスを及ぼすものと意味があるものであることや偽造なのかなど、いろいろと知ることができるのです。知ることで、ますますおもしろくなると思います。
鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)
鍛造は金型に素材を置き圧力をかけ整形していき、鋳造は溶かした金属を型に流し込み冷えたら取り出すという方法です。わかりやすい図解と動画が一般社団法人日本金型工業会に載っています。動画を見る

指輪に例えると、デザイン性よりも耐性を重視する結婚指輪は鍛造で、安価で流行を楽しむファッションリングは鋳造でという感じでしょうか。
西洋では鍛造方式が、東洋では鋳造方式が採用されてきました。
製造工程によるコインの特徴
古代西洋においては、一定量の素材を金型に置きハンマーの手打ちにより作られていました。手作りですので、片面のデザインであったり、刻印がづれたりすることもよくあります。16世紀にはいると簡易なプレス機が使われます。これにより、より細かいデザインが可能となりました。17世紀には、量産の必要性から、材料の板をローラし刻印してコインの形にカットする方法(ローラダイ)も採用されました。この製造方法では、コインが反りやすい、ひびが入りやすいという特徴があります。18世紀の産業革命において細部までこだわったデザインが可能となったのです。また、コイン製造の過程において1つの金型できるコインの数には限界があり(当時は、2000-3000枚と言われています)複数の金型を使用したり、修復しながら使用していました。ということは、同一のコインでも多少違っていたり、元々ヘアーラインが入っていたりすることがあるのです。違っていても偽造ではないのです。本物と思っていたものが偽造であったという話は聞いたことがあるのですが、偽造と思っていたものが、本物であったなんてことも実際におきているのです。また、製造特色であるソリもその製造法を味わう文化が世界にはあります。こうした奥深さは、やはり本物のプロのアドバイスを聞かないとわからないものです。それを少しづつ自分のものにしていくことがコインコレクトの面白さであると思います。投資の目も肥えてきますが、是非 違いを是とし、その時代に思いはせる豊かさも増えていくといいですね。
技術
金は、化学的に安定して浸食・腐食が起きにくい上に展性と延性に富む特性を持っており加工に適した素材です。さらに、に美しい。しかし、この加工のしやすさは、流通として扱う場合耐性に欠けます。この対策として、他の金属を調合したりします。また、悪い人はいるもので、金貨の縁を削ってそれを集めて金を得る人もいたのです。政府も不正対策として、金貨を削ることを罰することにしました。それでも、悪知恵の働く人は、麻袋に金貨を入れてシャラシャラと振って意図的ではなく金くずがでたとしたそうな。いつの時代も鼬ごっこがあるんですね。縁のギザギザは、こうした対策からできたものとも言われています。
今の時代の貨幣印刷でも最先端の技術が使われているように、コイン製造技術は、国家威信をかけたものなのです。万有引力で有名なあのアイザック・ニュートンがイギリス王位造幣局長を務めたことからもそのことがわかります。コイン製造技術は、そう難しくなさそうなのですが、1986年の日本ですら、まだ記念硬貨に値する技術を持ち合わせておらず、イギリス王立造幣局(The Royal Mint)の協力を得てやっと作れたほどです。