その値段は、妥当なのか不安。
ーコイン価格の透明性ー
価格は合理的に決まり全ての人が見れる状態にある
有史以来多くのコレクターを持つコインの世界では、記録も細かく残されており誰でも見ることができます。一番わかりやすくまとめられているのが、電話帳のような『Standard Catalog of WORLD COINS』という本です。アマゾンでも購入できます。
このカタログの略号は、KMと表記されます。
全世界で発行されたコインの取引された価格が毎年更新され載っています。1600年から100年づつで1冊の本になっています。試し読みができるので、一度見てみると面白いです。中身は、こんな感じです。
製造年・造幣局
発行枚数
コインの情報
保存状態
←悪い 良い→
赤の枠が前年の取引実績価格になります。
緑の枠にコインの概要が載っています。例えば、コインの重さや金の含有%などです。これで、地金価格も明確になります。発行年・造幣局・発行枚数・保存による状態よって大まかな価格がわかるのです。たとえ、その年に取引実績がなくても前後左右の比率を利用することで、算出もできます。コインは、一点物の絵画や美術品と異なりとても論理的にOPENに価格が決まっています。
注意点として、ここに記載されている価格は、1年前の取引価格です。年平均10%強の値上がりをしています。今現在は、この価格で手に入れることは、まず、ありません。
こうして、相場観を養ったり、調べたりすることで、市場価格の2倍3倍で売りつけるような業者からあなたを守ることはできるはずです。
保存の状態って何?
傷や摩耗の程度の状態をいいます。それは、国際的等級付けにより分類されています。昨今では、細分化した分類(グレード)が米国企業によりビジネス化されました。代表的な会社が、NGCとPCGAです。投資の世界の格付け会社S&Pやムーディーズ、フィッチレーティングスリミテッドと同じビジネスモデルになります。このグレーディングシステムによりわかりやすくなった気がする部分もあります。
日本人ビギナーはこのグレーディングを過信しているきらいがあります。彼らは鑑定機関ではありません。
S&Pやムーディーズのような格付け会社が、サブプライム問題やエンロン事件などの発端となったように、彼らのグレーディング値はあくまで参考値であり絶対ではありません。
本来のコイン鑑定は十年以上学び続けて可能となるものなのです。格付け会社の方は、格付け会社のサラリーマンです。自分のお金でコインを売買していないのです。かたや、コイン商は、売買のプロです。いくらいいグレードがついていても実際は、もっといい状態・悪い状態というのを正しく判断しなければ、商売にならないのです。実は、本物のコイン商のほうが鑑定力・査定力が高いのです。
コイン収集の歴史ある欧州では、自分の判断に自信を持っているが故に、このスラブ(プラスチックのパッケージ)を壊して、コインそのものを楽しんでいる人が多いのです。
グレーディング会社の数値を盲目的に信じることなく、鑑定力あり信頼できるコインコンサルタントのアドバイスを聞き、自分で実物をよく見て納得することが大切です。
これは、NGC発行のスラブです。スラブとは、グレード保証したコインを入れ替えられないようにしたグレード付きパッケージです。このコインは、PF64のグレードであるとNGCが保証しているということです。
過去においてこのスラブをうまく分解し、コインを入れ替えて再封入した事件が何度も起きています。そこで、NGCはスラブ作成時の写真をHPに上げて入れ替えた場合は確認ができるようにしています。詐欺師との戦いは、まさにいたちごっこです。
他代表的なカタログ
『ワールドコインズ』カタログのほかにも、金貨を網羅したカタログやイギリスコインを網羅したカタログがあります。
Gold Coins of the World(略号Fr)
古代~現代の世界の金貨21,000種掲載。
著者名から『フリードバーグ(Friedberg)』とも呼ばれています。
Coins of England & the United Kingdom
(略号Spink)
イギリスコインのカタログ
日本貨幣カタログ
日本の紙幣及び硬貨を掲載。日本貨幣商協同組合出版
A Guide Book of United States Coins
アメリカコインのカタログ
ネット検索
コイン業界では、WEBよりも本のほうが充実しています。また、ペーパーメディアのほうが、新たな発見があったり眺めるだけで楽しい時間を過ごせます。しかし、ちょっと調べるのには、やはりWEBのほうが便利ですね。そんな時は、PCGS社サイトにアメリカ・中国のポピュラーなコインのグレード別取引実績がに載っています。こちらも参考にはなるでしょう。